PVC(塩化ビニール)製の長靴はレインブーツの他、耐油性(油に強い性質)を付与してラーメン屋さんや食品工場の白長靴として利用されています。
PVC長靴の特徴として、「水漏れしない」というものがあります。
これはPVC長靴の「一体成型」という製造方法にヒミツがあります。
今回はこの「一体成型」について解説致します。

一体成型とは、靴底から胴部分までをひとつの金型で作る製法の事です。
たい焼きをイメージすると分かりやすいかもしれません!
長靴の形をした金型にPVC樹脂を流し込んで作るので、継ぎ目のない長靴を作ることができます。
一般的な長靴は、胴部分と靴底を別々に作り、接着・圧着で組み立てますが、一体成型はそもそも“継ぎ目”がないので、外部から水が入る隙間がありません。
・高い防水性
継ぎ目がないので、履き口以外から水や汚れが靴内部に入る事を防げます。
その為、食品工場や飲食店など、水・油を使う現場で使用されています。
・割れにくい
接着部分がないので、剥がれや割れのリスクがない事も強みです。
靴底が剥がれる心配もなく、PVCの特性も合わせてしなやかでひび割れしにくい長靴を作れます。
・衛生的でお手入れ簡単
金型で製造されているので、多くの長靴は表面がツルツルで汚れが付きにくく衛生的です。これも食品関連の施設で使われる大きなポイントです。
多くのメリットがある一体成型のPVC長靴ですが万能ではなく、デメリットもあります。
・蒸れる
継ぎ目がなく、水や汚れが入らないという事は、熱も湿気も逃がさない、という事になります。その為、靴内部に空気がこもりがちで足ムレの原因となります。
一体成型のPVC長靴で足が濡れる場合、目に見えるキズや割れがない場合はほとんどが汗か結露によるものになります。
しかし、これは高い密閉性の証拠でもあります。
・重くなる
一体成型の長靴は、張り合せの長靴と比べると重くなる傾向があります。
ゴム長靴などはパーツを薄くしたり張り合せを工夫する事で軽量化が可能ですが、金型に樹脂を流し込む一体成型では限界があります。
まとめ
一体成型のPVC長靴は防水性が高く、水場での作業に最適です。反面、高い気密性により蒸れる事はありますが、割れにくさやお手入れ面のメリットがあるので、作業現場の必需品となっています。